イヤホンハウジングの素材まとめ

イヤホンの歴史って、最初にイヤホンらしいイヤホンが開発されてから、まだ40年もたってないんですよね。
イヤホンのハウジング部の素材は初めはプラスチックのみだったようですが、最近は本当に様々な種類のハウジング素材が出てきています。 そこで、備忘録も兼ねて2020年現在世に出回ってるイヤホンのハウジング素材について、まとめを作ってみました! 材質ごとに音質特性や著名なモデル、その他の特徴等をまとめていますが、以下は完全なる個人的評です(笑)。

それではさっそくまとめていきます!

 

 

 

材質

①プラスチック系

②金属系

③木材系

 

 

 

① プラスチック系

まず思い浮かぶのは、おなじみプラスチック系素材ですね。主に軽量であること、形状加工がしやすいことが素材共通のメリットでしょうか。

ぶっちゃけ、大半のイヤホンと言うか、低価格帯モデルを中心に殆どのイヤホンはプラスチック製でしょう。
加工のしやすさ故、一人一人の耳型に合わせて筐体を特注できるカスタムIEMにもこの素材が使われています。殆どのカスタ厶はアクリル樹脂製だとか。
これと同じ理由で、遮音性や装着感には優れているモデルが多いのも特徴です。

残念ながら、他素材に比して音質面で評価すべき点はありません(笑)。と言うか、他の素材のキャラが濃すぎて、相対的には見るべきものがなくなりがちです。もちろん、プラスチック筐体でも評価の高いハイエンドイヤホン等はあるので、一概に低音質とは言えませんね。
ざっくり言うと音の響き感が余り無く、どちらかというと高音の方が得意という感じです。


主なモデル : SENNHEISER IE40 PRO

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②金属系

金属素材の場合、加工の手間や研究開発費の問題もあってか、プラスチック系の素材よりも高価なイヤホンに用いられる傾向にあります。また、音質的に優れた要素を持っている素材が多いですが、一方で装着感や遮音性はプラスチック素材には劣る傾向があります。
一言で金属と言っても、個々で大幅に特性や音質傾向が違うので、一つ一つまとめていきたいと思います。

 

  • アルミニウム

軽量で、金属素材の中では加工がしやすいのが素材的なメリットだと思います。
ただし、耐摩耗性は低いので傷が付きやすいのがデメリット。傷防止のため、表面にセラミックコートやらアルマイト加工やらを施しているものもあります。

音質的には、中〜高音域の表現力に優れた素材だと思います。音色がシャープで綺麗系の音になる特徴もあるようです。一方で音場や響きといった空間表現力は控えめです。
どちらかと言うと、BA型に評価の高いモデルが多いように感じます。


主なモデル : Noble Audio Kaiser 10 Universal Aluminium

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  • ステンレス

イヤホンハウジングとしてはかなり重い素材で、加工性が悪いのが材質的特徴です。

音質的には、音の輪郭がはっきりしていてシャープ寄り、かつダイナミクスの高い素材だと感じます。どちらかと言うと低音の量が多い音ですが、ドライバの種類問わず評価の高いモデルは多いように思います。


主なモデル : TANCHJIM Oxygenf:id:Feever:20200622040806j:image

 

  • チタン

比較的軽量ですが、ステンレス以上に加工が難しい金属です。加工の難しさから発売しても採算性に問題が生じ、すぐに廃盤になった例もあります。表面に酸化皮膜が生じるため、錆が発生しにくく傷もつきにくい特徴があります。

音質的には、高音域が目立つ鳴り方をするのが最大の特徴です。また、解像度が非常に高く、ソリッドな音色を持つ傾向にあります。帯域バランス上、どちらかというとダイナミック型との相性が良い素材に感じます。

 

主なモデル : Echobox Nomad N1

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  • 真鍮

銅と亜鉛の合金で、亜鉛含有率が20%を超えるものを指します。重い素材ですが柔らかく、加工性は高い素材です。柔らかい分耐摩耗性は低め。また、真鍮むき出しだと錆が発生するため、メッキ等金属膜で補っているものもあります。真鍮筐体は基本的に金色なので高級感があるのはメリットですね。

音質的には、低音域の量感が増え、拡散するような音響感があるのが特徴です。響きの良さゆえか、空間表現力に秀でたモデルが多いです。チタンとは異なり音色はウォーム傾向だと感じます。

 

主なモデル : DITA brass

 

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イヤホンの素材としては余りメジャーではありませんが、亜鉛合金としてハウジングに採用された例もいくつか存在します。が、実は鉄と遜色ないくらいに重い素材です。

音質面については情報が少ないですが、PINNACLE P1を聴く限りではかなり個性の強い素材ではないかと思います。高音の綺麗さはチタンに相似。空間表現力も高そうです。

 

主なモデル : MEE audio PINNACLE P1


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  • 金属ガラス

近年実用化が進んできた合金による素材です。リキッドメタルとも呼ばれます。まだまたま研究途上にあり、イヤホン筐体への実用は極僅かですが、軽くて強度が高いのがメリットの様です。実際に使っていても傷がついた事は有りません。

音質面は情報も少ないので不明です。
開発元が材質を明言しているモデルも、LYRAⅡをはじめ数種しか無いのが現状です。

 

主なモデル : Campfire Audio LYRAⅡ


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イヤホンハウジングとしてはほとんど採用されたことがない素材で、酸化物のジルコニアの方がむしろ実用例が多いです。チタン族元素なので錆が生じないことなど、材質的特徴はチタンと似ています。

素材固有の音質傾向は、出回っているモデル自体がほぼ無いので不明です。

 

主なモデル : SONY IER-Z1R


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オーディオケーブルで最も広範に用いられる素材ですが、イヤホンのハウジングにも使用例があります。真鍮と異なり加工性が良くなく、さらに真鍮よりも重いため好んで使われる事は少ないようです。

音質的には目立つ点が少ないです。高音域が綺麗に感じたりもするのですが、全体として音色が暗めです。響き等も真鍮のほうが勝っているように思います。

 

主なモデル : qdc 1LE


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③木材系

特色ある金属系素材がたくさんある中、木で作られたハウジングなんてのもあります。
日本のメーカーだとJVCオーディオテクニカが採用していますね。
金属よりは軽いため、イヤホンとして扱いやすい素材と言えます。木材自体の加工や研究開発に手間がかかる為か、金属素材同様にそれなり以上の価格帯のモデルが多いです。

実際の音質面では、音色がウォームで独特の音響感があるのが特徴です。尖った要素が余りなく、帯域バランス的にも原音忠実というイメージの音に感じられます。
木材の中でも木の種類によって音質に差が出るようで、例として針葉樹と広葉樹ではかなり響き方が違うようです。

 

主なモデル : JVC HA-FW10000


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長くなりましたが、今のところ大体のイヤホンハウジングは上にまとめた材質、もしくはそれに類する素材から作られています。

もうほんとに、このジャンルは拘れば拘る程金銭的負担が加速するので、金の切れ目が縁の切れ目と思ってましたが、音を聴くと追求したい衝動がまた出てしまいますね笑。

次は何を書こうかなぁ、と思いを巡らせる4時44分でした。